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砂壁

 

夫のちんぽが入らない

夫のちんぽが入らない

 

 はじめから終わりまで泣きながら読んだ、なぜだか。

 

いま住んでいるマンションは壁がコンクリート打ちっぱなしで、気泡のような穴が大小無数に穿たれている。横たわって眺めれば、フロアライトの灯りが穴の陰影をくっきりと浮かび上がらせているのがわかる。触るとひんやりと冷たい。

 

砂壁の家に住んでいた頃、振り切ったエネルギーでもって色んな場所へ行き色んな人と会った。得るものも多かったし磨り減ることもあった。人を傷つけたこともあった。周囲からはもしかすると滑稽に映ることもあったかもしれないし、実際冷笑されたこともあった。

 

引っ越すことが決まった時、せっかく京町家に合わせて本棚を作ったのに東京には町家なんてありっこないと落胆したのだけど、意外とコンクリ壁にもこの木目調の本棚は馴染んでいる。なるようになるものだ。内装は違うのに調度は同じ、どことなく不思議な感覚で以前住んでいた家を思い出したりしてる。豪勢なシステムキッチンを見事に宝の持ち腐れにして日毎飲み歩いていたのに、今では真っ直ぐ帰って料理を作るのが日課。安定の日々。悪くない。

 

でも、滑稽なくらしでも無駄なことは一切なかったな。過去が今を規定しているから。そんなことをこの本読んで考えてた。